December 2017
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 私が今 座っている居間は 南東に向かって広い窓があります
 窓のすぐ外は 大きなミズナラの木や栗の木の林で 陽の光は室内に射し込みませんでした

 この林が11月に入ると 光るような黄色から茶色に変わり その後 日夜 ハラハラと葉が落ち続けて 月の終わりには 急に空が広くなりました

 この明るくなった部屋の椅子から 立ち上がる気力もない気分になって落葉を眺めています

 去年 この家に引っ越した時 ほとんどの本を整理してしまい ほんの少しだけ残しました
 残った本の中に ヘルマン ヘッセの「庭仕事の愉しみ」があります どんな内容だったのかも随分長い間忘れていた この本を開いてみたくなり・・・

 

〈 刈り込まれた柏の木 〉
  詩:ヘルマン ヘッセ

樹よ なんとおまえは刈り込まれてしまったことか
なんと見なれぬ奇妙な姿で立っていることか!
おまえの心に反抗と意志のほか何も残らぬほど
なんとおまえは幾百回となく苦しんだことだろう!
私もおまえと同じだ 切り取られ
責めさいなまれた人生を放棄せず
悩まされ通しの惨めな状態から
毎日新たに額に光をあてている
私の心の中の柔らかく優しかったものを
世間は罵倒し殺してしまった
だが私の本質は破壊し得ない
私は満足し慰められた
幾百回となく切り刻まれた枝から
我慢強く新しい葉を萌え出させた
そして どんな苦しみにも抵抗して
私はこの狂った世界に恋し続けている

 
 
 

ヘッセの詩は 今 室内に射し込む やわらかな光のように 私を慰めます

不二子

PHOTO: FUJICO