April 2017
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 私の暮らしには お茶碗とお椀がありません
ご飯 スープ そして食後のゼリーも同じ白いボウルで頂きます
お箸は竹の割箸を使っています
これはもう長い間の習慣になっていることです

 今年 私の誕生日に 友人が茶碗と うるし塗りのお箸をプレゼントしてくれました
私が茶碗も箸も持っていないことを気に掛けてくれたのでしょう…
でも私はこの新しい食器を使えません
このことで私はハッキリと気付きました

 

逗子に住んでいた 小学3年生の時 おはなしの本で「一休さんは かけた鉢ひとつで すべてをお賄いになりました…」という一節を知りました 海岸近くの橋の上に立って満潮を眺めていたら 川辺に かけたすり鉢が捨ててあり 托鉢の鉢は知らなかったので「これだ!」と思いジッと見ていた記憶が 今も鮮やかに残っています
それが心の真ん中に突き刺さってしまい その儘 80才過ぎた現在まで 生き方の中心にあり続けているのです

 

 中学生になり 父が「バウハウスの構成理論」について話してくれました 22才の時 大智浩デザイン事務所の勉強会で バウハウス構成実践トレーニングを受け その後 当時バウハウス運動の中心に居た ミューラー・ブロックマンが教えていた スイスの応用美術学校に行きました
これらは〈かけた鉢〉の延長線上にあったことだと思っています

 

それからは生計を立てる為に いろいろな事をやって来たけれど やはり今も忘れられないのは ーかけた鉢で托鉢をし その鉢で足を洗い お粥を炊いて頂くー という暮らし方の理想です
不二子

 
 
PHOTO : 青木優子(GARDEN & WILDFLOWERS)