〜Archive 季節便り 2025〜
February 2025
窓越しに すべて枯れた林を眺めていると「もうすぐ春」と云う テレビのニュースも嘘の様に聞こえます
今年も 4月27日から小諸高原美術館展を予定しているので 去年描いた絵の額装を次ぎ次ぎ仕上げています
2024年中に咲いた野の花達の遺影を沢山見返していると こんなに華やかで多様な色彩に溢れる季節があったとは…
遠い遠い想い出の中にある光景です
今年は「今までとは 少し違う絵描きになりたい……」と思い 頭の中は忙しく徘徊を続けているのに 息子には「もういい加減にしろ!」と徘徊老人を諫める様な言葉を浴びせられています
私は今年も沢山描きたくて華やかに色彩輝く季節が待ち遠し過ぎる今日です
今年もよろしくお願い申しあげます
2025.2.28 不二子



私は今月90才になります 90年も“生きる”など考えずに過ごして来ました
今 偶然の幸運か… その年令になってみたら私より年下の人達から差別を受けることが多いと知りました よく幼児に言い聞かせる様な言葉使いをされます
ある日はコンビニのレジで「アラ エライワネ!袋持って来たの」と云われました 私は物の無い時代に育ち その後環境問題に意識が強いスイスで教育を受けているので 買い物の時 ビニール袋など貰った事はありません いつも手作りの袋を使っています
今年は太平洋戦争が始まった頃の事をやたら思い出します 今 その頃の空気感を感じるのです
小学低学年の時 教室で先生が突然「あなたは 集団疎開か? 縁故疎開か?」と皆んなに聞かれました “エンコ”は赤ちゃんが座ること というイメージしか無く 疎開という言葉の意味も解りませんでした
私は「集団」でも「縁故」でも無く父の疎開工場があった茨城県に移り住みました
今 昭和の色彩が身近に感じられ あの頃の色で絵を描いてみたいと想います 鮮やかな色使いでは無く 記憶の遠い奥底にある自然と共生するような静かな色使いで…
不二子





